PISAと広島県の決断

学力調査PISAの結果報告

 

先日、主にOECD加盟国の15歳を対象に行われる学力調査PISAの結果報告が新聞をにぎわせました。

 

例えば、この記事。

https://resemom.jp/article/2019/12/03/53663.html

 

 

さて、調査項目は主に3つ。

 

読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー。

 

 

数学的リテラシーはOECD加盟国の中で1位。

 

科学的リテラシーは2位。

 

 

1位から2位になったことをもって科学的リテラシーが「明らかに低下した」と言えるかどうかは分かりません。

 

 

 

 

しかし、読解力は問題ですね。

 

11位となっています。

 

 

大体どの情報媒体も、そこに焦点を当てて騒ぎ立てています。

 

 

 

しかし、文部科学省は「毎年行っている学力調査で特に読解力が低下したようには思えない」とコメントしているのだとか。

 

 

 

 

では、一体この原因はどこにあるのでしょう。

 

その答えと思われるものが、PISA学力調査のポイントをまとめた報告書にありました。

 

 

↓下で解説しますが、興味のある方はぜひこちらをご覧ください。

https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf?fbclid=IwAR3qbbAoOuE8TE94kLywTX7JdT5bgDJnwDNvt31V2C5l6A5LN5cvcAR4mgg

 

 

 

 

 

 

 

読書の質とデジタルデバイス

 

読解力と言うと、すぐに読書量が問題となりますが、実は今の高校生はOECD平均と比べてみても、読書に対して肯定的であるようです。

 

読書の時間がムダだなんて言う生徒はほとんどいないことが分かりますね。

 

結構、みんな読書が好きなのです。

 

少なくともOECD平均よりは。

 

 

 

しかし、問題なのは次です。

 

この辺りが日本の不思議なところです。

 

コミック(マンガ)を読むことが本を読むうちに入るかどうかの議論は別にして、まずは日本人はやたらマンガを読む。

 

そして、次にフィクション(小説、物語)を読むということが明らかになっています。

 

 

 

確かに本を読むといった場合、多くの人は「小説を読む」と同義です。

 

 

 

それ自体が間違っているわけではありませんが、ノンフィクション(伝記やルポルタージュ)をほとんど読まないのは問題ですね。

 

もっと社会情勢を解説した本も読んで、現実社会への考察力を身につける必要があるのでしょう。

 

 

 

おそらくその辺りが、今回の読解力の低さにつながったように思います。

 

 

なにせPISAの方式が、パソコンから必要な情報を見つけ出すというような問題が多く出たようですから。

 

 

 

 

 

 

デジタルデバイスとの付き合い方

 

 

さて、次にデジタルデバイス(パソコンやスマホ)との付き合い方ですが、

 

右側のグラフを見れば、

 

日本の高校生はやたらとスマホでチャットをしている。

 

インターネットニュースを読むは、どの記事を読んでいるかによって評価が分かれますが、まあそれなりにゲームもして、ニュースを読んでいるようですね。

 

ただ、一方で、Eメールは使わない。

 

 

 

この辺りから見えてくるのは、今の高校生達が、現実社会とのつながりや関心が薄いのではないかという疑念。

 

 

あれだけ高性能なデバイスを持っているのに、友達やゲームといった娯楽に使うだけ、というのはもったいないです。

 

 

一時はスマホを持たせない方がいいのではないか、なんて話もありましたが、私は反対です。

 

というより、もう無理です。

 

これからの超スマート社会(Society5.0)を迎えるにあたって、スマホを持たせない方が怖い。

 

 

 

これからは、スマホを使いこなせ!が正しいでしょう。

 

 

スマホをを使って政治経済のデータを拾ってきたり、自分でまとめてみたり、そんな使い方が必要であるように思います。

 

 

 

 

これを見る限り、日本の高校生が、デジタルデバイスの活用において、世界基準からかなり遅れていると言えるでしょう。

 

拙速か?英断か?広島県の決断

 

 

こうした状況を受けてでしょうか?

 

PISAのニュースが出た翌日にこんな情報が広島県を駆け巡りました。

 

 

【2020年度広島県立高校の40%で、1人1台の情報端末配備】

https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=593925&comment_sub_id=0&category_id=256&fbclid=IwAR0mNhGz7rfh1HVJq6LxYFPfZhZ1toXVY8ofH3hq30Ndo9sRU2iWOncOko8

 

 

広島県も思い切ったことをします。

 

方向性はきっと正しい。

 

 

 

しかし、志望校もほぼ固まったこの時期に発表したのが驚きです。

 

対象の学校に進学すれば、7〜8万円の教材費が上乗せされます。

 

これが志望校選定に影響があるのか、ないのかもまだ分かりません。

 

 

うちの塾の周りだと、安古市高校と祇園北高校がその対象。

 

混乱は多少あると思うけど、リクルート出身の教育長だし、まずは走り出そうというところでしょうか。