どちらの国に住みたいか?〜推薦入試の問題から〜

安古市高校の選抜1から

 

少し前の安古市高校推薦入試(選抜1)でこんな問題が出題されていました。

 

 

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貧富の差があまりないA国と、貧富の差が著しいB国があります。

 

あなたが暮らしたいと思う国はどちらですか?

 

その理由を述べ、またその国の改善点を論じなさい。

 

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もちろん文言はこのままではないですが、そういった趣旨の問題でした。

 

 

 

 

 

 

実にいい問題です。

 

 

資本主義と社会主義の違いについての知識を「前提」としていたのは言うまでもないことでしょう。

 

 

 


 

この問題に対し、A国とB国のどちらを選んでも正解です。

 

 

問題はその理由と改善点がきちんと述べられるかどうかです。

 

 

ただ直感的に「貧富の差が小さいA国の方が幸せそう」程度の理由でA国を選んでしまうとその後の論述がスカスカになってしまうでしょうね。

 

 

まずは二つを比較するのです。

 

 

 

A国にもメリットとデメリットがあるでしょう。

 

メリットの例としては、ほとんどの国民が比較的平等な生活を維持できることが挙げられますね。

 

また、デメリットとしては、能力が高かったり努力したりした人が相対的に報われず、生産意欲が低下しがちであると言えるでしょう。

 

 

その一方で、もちろんB国にもメリットとデメリットがあります。

 

A国の反対を考えればいいですね。

 

 

 

いずれにせよ、そうやってまず二つの国を比較してから、A国・B国を選ばなくてはいけません。

 

 

 

「どちらの国に住みたいか?」というこの問いは、実は論理的に考えて選ぶべき問題だったと思います。

 

 

 

まずは二つの国を比較する。

 

そのプロセスを踏むことで、論述が深い内容になるのです。

 

 

 

 

ただ、そういう手順を経たとしても、きっとA国を選ぶ人が多いでしょうね。

 

「なんだかんだと言ってもこっちの方が幸せそうだ」

 

くらいの気持ちで。

 

 

 

 

 

その場合は、実はそれでいいのです。

 

 

 

 

 

論理的に二つを比較してどちらを選んでも不正解とならない以上、最終的に選ぶ基準は「感情」です。

 

 

ああだこうだと理屈をつけたところで、往往にして感情がその是非を決定します。

 

自らの正義感に従うと言ってもいいです。

 

 

 

 

 

感情が行き先を埋め、論理がその道筋を示す。

 

 

 

昨今、論理的思考力の重要性はあちこちで言われますし、僕も子ども達にそう伝えますが、本当は論理と感情の役割を理解し、バランスよく兼ね備えているのが最も望ましい。

 

 

 

 

まあ、安古市高校がこのようなことを意図して出題したかは分かりませんが、選抜1ではこんな良問が出題されます。

 

 

高校受験に挑む頃までに、そういう論理と感情のバランスが取れた生徒を育てなくてはいけないとは、なかなか難しいですが、教育産業に携わる者として俄然燃えさせてくれる問題です。

 

 

 

 

 

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