筑波大学附属駒場中の2023年度入試で出題されたエッセイに、「ガラスのこころ」(岸田奈美)があります。
岸田さんという方は、家族にまつわるエピソードや自身のアルバイト経験などを、主に「note」というツールで発信している方です。
自分の言葉を発信し続けることで作家としてのポジションを手に入れた方で、とても現代的な働き方をされていて面白いです。
最近NHKでやっていたドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の原作者でもあります。
早逝した父、車いすユーザーになった母、ダウン症の弟、認知症になった祖母。
記号としてみれば様々なものを「抱える」家族でありながら、誰でも共感できる普遍的な家族の姿が、自伝的エピソードをもとに描かれています。
家族関係の「温かさ」と「めんどくささ」をまとめて抱きしめたくなるような作品です。
先日ご紹介した大河ドラマ「光る君へ」の中でも、宮中での仕事に打ち込むあまり娘・賢子との距離感がつかめなずに悩む紫式部の姿が描かれています。
日本初の女性判事・三淵嘉子さんをモデルにしたリーガルドラマ「虎に翼」の主人公・寅子と娘・優未の関係も近しいものがありました。
古くは新生児取り違え問題を描いた「そして父になる」という映画もありましたね。
どれも、家族とは「ある」ものではなく、「なる」ものだということを感じさせられる作品です。
とここまで書いてきたのですが、この話の着地点は「家族関係の大切さ」ではなく、「知識をつなぐことの大切さ」なんですね。
勉強して知識が増えたり、様々な経験をして体験知が蓄積されたりすると、それを共通点でつないでみてほしいのです。
最近合唱祭や体育祭、修学旅行など、様々な行事が学校であったと思います。
それを「楽しかった」で終わらせるのではなく、「どういうところが面白かった?」と具体化し、「何か似た体験はなかった?」とつないでみること。
具体化、抽象化、体系化。
学習において重要な要素ばかりです。
ご家庭での会話の中で使って、ぜひつっこんだ話を聞いてあげてみてください。
コメントをお書きください