令和4年度広島県公立高校入試平均点発表

令和4年度平均点発表

 

先日、広島県教育委員会から令和4年度公立高校入試の平均点が発表されました。

▼大元の資料はこちら

 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/486613.pdf

 

早速見てみましょう。

年度 国語 社会 数学 理科 英語 5科目平均

令和4年度入試

(2022年3月実施) 

24.6 23.3 20.2 28.8 20.4  21.5

令和3年度入試

(2021年3月実施)

21.5 26.5 21.1 24.4 21.1 22.9

 

比較のため、令和3年度入試の平均点も掲載しましたが、

国語と理科が若干易しくなり、

社会、数学、英語が難化したといえそうですね。

 

ですが、2年だけの比較では何も見えてきません。

 

 

 

全体の傾向を掴むため、過去13年分の合計点を折れ線グラフにしてみました。

 

 

広島県の入試は、平成27年度まではとても簡単ででした。

 

5科目平均こそ安定して26点台(50点満点)でしたが、国語や社会のような科目では平均点が30点を超えることも少なくなく、特に上位校受験者間で差がつかないこともありました。

 

その結果、広島県では長く「内申点を取ることが高校入試の突破の近道」と、どの学習塾も内申点対策に明け暮れる状況が続いたのです。

 

しかし、その状況は平成28年度入試から変わって行きました。

 

いわゆる思考力系の問題を導入し記述問題の量も増え、これまでの傾向を大きく変えた難易度の高い入試問題になりました。

 

平成29年には、理科や英語の平均点が20点を大きく割り込み「日本で一番難しい入試問題」と評されましたね。

 

その後はさすがにやり過ぎたと反省したのか、易化傾向を見せ、令和2年度入試には5科目平均点が25点台にまで高まりました。

 

ですが、こうやってグラフにすると、どうやら令和2年度が例外的に簡単であっただけであって、広島県の高難易度入試問題の路線は継続していくと思われます。

 

実際、以前の教科書に比べ現行の教科書は難しくなりました。

 

教科書は難しくなって入試問題は簡単になることはないでしょう。

 

この傾向はしばらく続くと想定する方が自然だと思われます。

(私は大歓迎です)

 

 

 

 

各科目得点分布

 

次いで、広島県教育委員会が発表してくれている各科目の得点分布を見てみましょう。

 

▼令和4年度入試の得点分布

 

 

一見して分かることに、

国語、社会、数学は富士山のような山形の分布を示し、

理科、英語は、左寄りの台地のような平たい形をしていますね。

 

これはつまり、

国語、社会、数学は極端な低得点や高得点の生徒が少ない一方で

理科や英語は低い子から高い子まで満遍なく存在するということになるわけですが、

一般的にいって

理科や英語の得手不得手は他教科よりも影響が大きい可能性が高かったということを表します。

 

苦手だとすれば、他の受験生に差を大きくつけられやすいし、

逆に得意であれば、他の受験生に大きく差をつけやすいということになります。

 

現在の高一の皆さんはどう実感されるでしょうか?

 

 

実は、同様の形は令和3年度入試でもみられます。

 

 

▼令和3年度の得点分布

確かに国語、社会、数学に比べて、理科・英語は平たい形をしているのが分かりますね。

 

この2年だけを見ると、

比較的理科・英語は受験生間で差がつきやすい科目で、国語・社会・数学はそうでもないと言えそうです。

 

ただこの傾向は絶対的なものではなく、その前年の令和2年は全体的に簡単だったこともあり、ちょっと右寄りの不思議な分布を示しています。

 

 

▼令和2年度の得点分布

数学と理科は山の頂上が35〜40点に位置するという形となり、

上位校の生徒なら40点近く取って当たり前という年でしたね。

 

これはこれで逆に差がつきにくい。

 

一方国語は、あまりに25点〜30点に集中しすぎです。

 

受験生間で差をつけるのが入試問題の役割ですので、その意味で褒められた問題ではなかったということでしょう。

 

もう一年見てみましょう。

 

▼平成31年度の得点分布

この年は、国語以外どの科目も比較的緩やかな山形をしており、入試問題として理想的な問題だったと言えそうです。

 

どの科目も満遍なく得点がばらけやすい。

 

問題を作る先生方も大変だと思いますが、常にこうあって欲しいですね。

 

 

 

ただ、こうやって4年分見ていくと、その年の特徴を捉えることができますが、一貫して変わらないことがあります。

 

それは、英語はどの年であっても差がつきやすい科目であるということ。

 

その年の入試問題がどうとかあまり関係ありません。

 

科目の特性として、二極化が進んでいる科目だと言えるでしょう。

 

その点はきちんと意識して勉強した方がいいでしょう。

 

 

 

また科目ごとの解説は、後日報告しますね。

 

この記事を書いた人

進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中でモチベーションのあり方に着目し続け、キャリア教育の重要性を認識する。2018年以降は現在のTHE DOORに繋がる講演会主催活動を主催しながら、時に自身も登壇する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。