ご存知の方も多いかもしれませんが、
今日は心理学からこんなお話をさせてください。
マズローの五段階欲求仮説
上の図は、心理学や現代社会学を少しでもかじったことがある人なら初期に出会う「マズローの5段階欲求仮説」と呼ばれるものです。
ごくごく簡単に説明しますね。
人間の欲求というは上の図のような5段階に分けられます。(他にもありますが割愛)
①生理的欲求・・・生物としての人間が持つ生きるための欲求。食欲とか睡眠欲とか排泄欲とか。
②安全の欲求・・・安心して生きることができる環境を求める欲求。
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③愛と所属の欲求・・・社会の中で、家族や友達、恋人など人と繋がっていたいという欲求。
④承認の欲求・・・周りから価値ある存在だと認められたいと思う欲求。自分が努力した成果が認められることで果たされる。
⑤自己実現の欲求・・・なりたい自分になる。自分が求めていた状況に自分がなりたいという欲求。
この話で最も大事なことは、下の欲求が満たされないと上の欲求を求めることができないということ。
例えば、「安全の欲求」が満たされないと「愛と所属の欲求」を求めようとはしないということです。
下の欲求から順番に上に上がっていく感じですね。
中高生の位置
では、中学生や高校生はこの話の中のどこに位置するのでしょうか?
日本で普通に暮らしている限り、①生理的欲求や②安全の欲求はほぼみんなクリアしています。
まず問題にはなりません。
中高生のほとんどが③愛と所属の欲求や④承認欲求の段階にいます。
マズローによればそもそも「自己実現の欲求段階」に進むことができるのは、大人を含めて数パーセントの人だけらしいですからね。
10代の子達のほとんどが③と④の段階にいるでしょう。
この段階にいる子ども達に将来の夢や志望校を設定させて⑤自己実現を目指させるというのが、高校入試や大学入試だったりするので、みんな苦労するのです。
子供達も苦労するし、親御さんや学校・塾の先生も苦労します。
③や④の段階にいる子ども達に、将来の自己実現のために頑張れなどと言うわけですから。
勉強の前に
とは言え、ここで伝えたいのはそのことではありません。
私が本当に心配するのは、これです。
承認欲求や自己実現のために一生懸命勉強に向き合おうとしても、「愛と所属の欲求」が満たされないとそれどころではなくなる。
1年に1人から数人出会います。
勉強に向き合おうとしているのに、学校で辛い立場に置かれたり、クラスに馴染めなかったり、家族の問題が心に重くのしかかっていたりと、どうしても集中できない状況が続く子に。
僕が知らないだけで、短期的にその状態に陥る生徒はもっと多いと思っています。
そりゃあ、無理があるのです。
愛と所属の欲求が崩れているのに、その不安を押し殺して勉強に打ち込むなんてことは。
辛いに決まっているじゃないですか。
普通無理でしょう。
塾講師を10年以上やっていますが、私の力でこの問題を根本的に解決できたことがありません。
基本的に塾の外で起きていることが原因だからです。
私にできることは、限られています。
その生徒を心配したり、話を聞いたり、相談に乗ったり、場合によっては知らないふりをしたり、です。
そして、もう一つ大切な役割があります。
所属する生徒全員にとって「安心して」勉強できる場を保ったり
です。
もともとMoveはその役割として「本気で頑張りたい生徒のために、それを可能にする空間を提供する」ことを自任していますが、少なくとも塾の中では全員が安心して勉強できる場でありたいと願っています。
10代の1年間は貴重です。
少ない時間で大きく成長できる時期に、そんなことで頑張る機会を逃すなんてもったいないし、無理がある状況でそれでも頑張ろうとする生徒を見ると心が痛みます。
ですから、学校の授業を妨害している生徒や、いじめを働くような生徒はMoveに入塾禁止です。
正直、邪魔です。
とにかく真面目にきちんとやろうとしている生徒が安心して頑張れる場を絶対的に維持したい。
そう思っています。
だから、それぞれの生徒に色々なことがあるとは思うのですが、
どうかMoveにいる間は安心して勉強に打ち込んで欲しいのです。
それが本当に無理な時は無理しなくていいから。
全ての塾生にとって少しでも安心できる場でありたいと思うのです。
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