「みはじ」は悪か?
小学6年生から小学5年生に下りた単元に「速さ」があります。
この単元、確かにつまずく子が多いです。
「道のり」「速さ」「時間」の三要素があるのですが、その関係が分からなくなるらしいですね。
そこで、登場するのが上の図「みはじの公式」。
道のりを計算するためには、上の図を見ながら「速さ×時間」をすれば良く、
速さを計算するためには、上の図を見ながら「道のり÷時間」をすれば良く、
時間を計算するためには、上の図を見ながら「道のり÷速さ」をすれば良いと
教えてくれる魔法の図です。
この「みはじの図」をめぐっては、塾の先生たちの論争が定期的にネット上で勃発します。
つまり、この図を使って教えるのが果たして子ども達のためになっているのかどうか。
反対派は、こう言います。
「そんなもの、何一つ本質をついていない教え方だから、子ども達にとって害にしかならない!」
擁護派は、こう反論します。
「そうは言っても、これで教えないと子ども達は問題が解けない。問題が解けるように導くのが我々の使命だ!」
大体そんな意見に集約されます。
Moveの立場
さて、そんな賛否両方の意見を踏まえた上で、私はこう考えます。
「みはじ」は基本認めない。
定義を徹底的に理解すれば、こんな「魔法陣」を覚える必要はない。
※「魔法陣」:意味も分かっていないのに、当てはめれば答えが出る不思議な図の意。
この場合、ポイントとなる定義は「速さ」です。
この「みはじ」を積極的に使う子で、「速さ」の定義をきちんと理解している子にまず出会いません。
すると、こういうことが起きるのです。
道のりを計算するためには、図に当てはめて「速さ×時間」をすればいいんだな。
速さを計算するためには、図に当てはめて「道のり÷時間」をすればいいんだな。
時間を計算するためには、図に当てはめて「道のり÷速さ」をすればいいんだな。
「速さ」って何かよく分からんけど。
こんな考え方で勉強を進めていっても、勉強の楽しさに到達しません。
大事なのは定義です。
つまり、速さとは何か? を徹底的に理解するのです。
速さとは「1秒・1分・1時間などの単位時間あたりに進む距離のこと」。
これの意味を徹底的に考えましょう。
図にしましょう。
想像しましょう。
多少はとっつきにくい単元かもしれません。
けれど、ここで意味もわからず「魔法陣」に頼るのであれば、成長を阻害します。
「定義」を徹底的に理解すれば、それほど難しい単元でもありません。
「そりゃ、そうだ」で終わる話です。
それを実感するのにちょうどいい単元でもあります。
お願いなので、子どもたちの大きな成長ポイントを潰さないでくださいね。
この記事を書いた人
進学空間Move塾長
宮脇慎也(Shinya Miyawaki)
27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。
8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。
その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、2018年以降は現在のTHE DOORに繋がる講演会主催活動を主催しながら、時に自身も登壇する。
1977年生。射手座。B型。
家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。
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あか (火曜日, 23 2月 2021 16:18)
グッド
中村博之 (月曜日, 13 6月 2022 17:10)
先ず知っていてそれから歳をとって、なるほどそう言う事だったのだと理解することが沢山あります。
歴史も少し知って、歳をとって、大河ドラマを観て、嗚呼なるほどそう言う事だったのかとなり、調べ始めました。先ずは興味をわかせないと何も始まらないのでは?善か悪かは個人によると思うのでほっといて欲しいです。貴方の考え方を押し付けないで欲しいです。
宮脇 (月曜日, 13 6月 2022 17:54)
中村様
コメントありがとうございます。
そして、反論も大歓迎です。
この文章の最初にも書いていますが、「みはじ」については賛否両論あります。
塾の先生として10年以上この議論を眺めていて、中村様のようなご意見があるのも承知しています。
「まず解けることが大事なんだ。そうでないと子ども達の興味も出てこない」
そういうご意見です。
それを踏まえて書いています。
結論として、Moveで「みはじ」を教えることはない。
「みはじ」を教える代わりに、徹底して「速さ」の定義をあの手この手で教える。
そうした方が算数に興味を喚起することにもつながり後々に繋がると信じているし、そうして速さの単元を解けるようになった子ども達を見てきたからです。
そして、Moveの姿勢をこのMoveのブログにて表明することが私の考えを押し付けることになるのかは、甚だ疑問が残ります。
私の教育姿勢が押し付けだと言われればそうかもしれませんが、私がどんな人間かは中村様はご存知だと思っていますが。