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「勉強しなさい」はエネルギーの無駄遣い

 

 

今日は久しぶりにある本を取り出して調べ物をしていました。 

 

 

2015年に出版された、

教育をエビデンスで語る画期的な一般書、

『学力の経済学』。

 

 

出版された当時はかなりの話題になり、私も発売当初に読みました。

 

あれから8年が経ちましたが、 

ふと気になることがあって

本日改めて読み直してみたのです。

 

すると、

やはり当時とは違うところがひっかりますね。

 

色々と面白いデータが掲載されていたのですが、

今日はその中の一つをご紹介します。

 

 

「勉強しなさい」はエネルギーの無駄

 

この本にはっきり書いてありました。

 

子供に「勉強しなさい!」と言ったところで、

ほとんど届かないから、言うだけ無駄!だと。

 

 

 

こちらは、中室氏が本の中で挙げているグラフ。

両親の学習に対する働きかけと勉強時間の関係を示しています。

 

お子さんが男の子と女の子であることや、

お母さんとお父さんのどちらかが言うかで

違いが出てくるのが面白いですね。

 

このデータを素直に読むと、

小学校低学年の段階で、

お母さんが女の子に「勉強しなさい」と言うと

むしろ勉強時間が減ることがはっきり示されています。

 

もうね、

「勉強しなさい」と言う方が子どもの勉強時間を減らすのです。

 

言うだけ無駄です。

 

 

さらに、気になったので、

別の論文から同様のデータを拾ってみました。

  

「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」(国立大学法人お茶の水女子大学)です。

 

 

 

ちょっと前のデータですがネットで公開されていたので、この論文からデータを引用します。

 

こちらは、両親の勉強に対する働きかけと、成績との関係を示しています。

 

 

 

まず中学3年生についてのデータ。

ついで、小学6年生のデータ。

 

SESの統制前と統制後と言うのは、

ご家庭の社会的状況の補正をかける前と後ということですので、

ここではあまり気にしなくていいです。

 

小学6年生でも、

中学3年生でも、

「こどもに『勉強しなさい』とよく言っている」ことと

成績は負の相関関係があるようです。

 

 

ここで気をつけていただきたいのは、

このデータはあくまで相関関係を

示しているに過ぎないということ。

 

つまり、

「こどもに『勉強しなさい』と言う」ことが原因で

学力が伸び悩んでいるかどうかは分からないということです。

 

逆に、

学力が低迷しているから「勉強しなさい」と

言わざるを得ないのかもしれません。

 

しかし、そこにプラスの効果がほとんどないのは

認めざるを得ないでしょう。

 

 

結局、

親御さんが「子どもに勉強しなさい」と言っても、

勉強時間で見ても大して変わらないし、

残念ながら、お母さんが言うとむしろ勉強時間が減るし、

成績で見たら下げる要因になっている可能性があるということです。

 

 

もうやめましょう。

 

お子さんに

「勉強しなさい」と親御さんが言うだけ無駄です。

 

そういうことを言うのは親御さんの役割ではないということです。

そんなのは、塾の先生に任せておけばいいのですよ。